鵞足炎とはランニングによる膝障害の代表です。
鵞足炎(がそくえん)は、膝の内側に位置する鵞足(がそく)と
呼ばれる腱が炎症を起こす疾患です。
鵞足は、膝関節の内側を安定させる役割を持つ
三つの筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)が集まった部分で、
鵞鳥の足に似ていることからその名前が付けられました。
鵞足炎の特徴
①膝の内側に痛み
鵞足炎の典型的な症状は膝の内側、
特に膝下の内側に痛みが生じることです。
この痛みは、階段の昇降や椅子からの立ち上がりなど、
膝を曲げ伸ばしする動作を繰り返す事で悪化することが多いです。
②腫れ
痛みがある部位がぼんやり腫れたり、
熱を持ったりする場合もあります。
ズキズキする痛みや触ると痛みを感じることもあります。
③繰り返す動作や運動での悪化
特にランニングや長時間の歩行など、
膝に繰り返し負荷がかかる動作で症状が悪化します。
スポーツや日常生活で膝を酷使することで、
炎症が進行しやすくなります。
④筋力や柔軟性の低下が原因になりやすい
太ももの内側の筋肉が硬かったり、
筋力が不足していたりすると鵞足部分に負担が集中し、
炎症が起こりやすくなります。
鵞足炎の分類
①急性鵞足炎
突発的に発症し、膝の内側に強い痛みや腫れ、
熱感がある状態です。
急性の鵞足炎は、激しい運動や
膝への過剰な負荷が原因で起こることが多く、
適切な安静や冷却などのケアが必要です。
放置すると慢性化するリスクがあります。
②慢性鵞足炎
痛みや炎症が長期間続き、
慢性的に膝の内側に不快感がある状態です。
急性鵞足炎を治療せずに放置したり、
姿勢の不良や筋力不足で膝に常に
負荷がかかっている場合に発症しやすくなります。
慢性化すると、治療に時間がかかるため、早期の対応が重要です。
③スポーツ性鵞足炎
スポーツ、特にランニングやジャンプを
繰り返すことで起こる鵞足炎です。
運動による膝への過度な負荷や、柔軟性不足、
ウォーミングアップ不足が主な原因とされています。
運動を頻繁に行う方やアスリートに多く見られるため、
運動前後のストレッチやケアが重要です。
全てのタイプで 姿勢や筋力のアンバランスから起こる
膝の捻れが原因となることが多いです。
特に、大腿骨が内旋し下腿骨が外旋するX脚の様な
膝の捻れ方は内側に負担が集中するため、
鵞足に炎症が起きやすくなります。
股関節や膝のアライメント調整や筋力バランスの改善が有効です。
それぞれのタイプに対する適切な治療が必要であり、
特に慢性化を防ぐためには、早期のケアが重要です。